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2024.05.21

【対談】ピラティスで目指すホリスティックビューティー

ピラティスで目指す ホリスティックビューティー

 

肌の健康と美容について、日本化粧品工業会 研究主幹、また日本フォトダーマトロジー学会の理事やISOの紫外線防御試験法のプロジェクトリーダーなど紫外線防御に詳しい畑尾正人先生にお話を伺いました。

(以下 畑尾先生 H: 、高田 T)

 

ピラティスは美肌へも良い効果がありそう

T:

ピラティスを行っている方々は、体の健康はもとより美意識が高いと実感しています。そこで、先生は、ピラティスの美肌への効果を、どう考えられますか?

 

H:

ピラティスは、体の健康だけでなく全身の美にもとても良い影響があると思います。皮膚は人間の身体を包んでいる膜のようなもので、一見すると皮膚の状態と全身とはあまり関連がないように見えるかもしれませんが、実際には皮膚は身体の中からも大きく影響を受けます。様々なシグナルが身体の中から皮膚に送られていて、皮膚の状態をよくするために働いています。そして体全体を鍛えることが良いシグナルを出し、皮膚も良くなるし、脳にも影響して非常に良い精神状態になる。そう考えると、ピラティス自体が、美というものに対するホリスティックなポテンシャルがあるのは間違いないでしょう。皮膚に良い影響を与えるのはピラティスだけではありませんが、ピラティスもその1つとして、大きな役割があるのではないかと思います。

 

T:

そうですか!私たちとしては、とても心強いお話です。先生が考えられる健康な肌、美肌へのケアというのはどういうものでしょうか?

 

美肌づくりの3原則とは

H:

皮膚に着目すると、非常に重要なスキンケアが3つあると思っています。1つは洗顔。汚れを取ることです。外を歩けば、顔のあちらこちらに色々な物がつきますし、メイクアップを取り除くと言う意味もあります。またターンオーバーと言って皮膚が生まれ変わる時に剥がれ落ちる角質細胞や皮膚上に分泌される皮脂などもこうした汚れに混ざっています。

2つ目は保湿です。洗顔後の汚れを取った後の肌は、とても乾燥しやすい。だから洗った状態でそのまま放置するのは、よろしくない。保湿により、肌を良い状態に保つことが必要です。水分が少なくなると皮膚が硬くなり、しなやかな皮膚ではなくなってしまうので、保湿で水分を補い、ある程度バリアが必要になります。人の皮脂は、そういうバリア機能がありますが、外からの汚れとともに酸化もしますのでずっとそのままにしておくのは、良いものではない。そのため、洗顔の終わった皮膚の皮脂の機能を補うという意味でも、保湿は必要です。保湿では、水と油を補うことが大事です。水だけでなく、油で水が飛んでいくのを抑えるのです。

 

T:

乾燥を嫌ってミスト等を愛好される方もいらっしゃいます。今のお話からすると、水分だけ補っても、あまり効果的でないということでしょうか?

 

H:

ミストでの水分補給自体はいいと思いますが、水分補給されたものを、油分も使って長く皮膚に留めるということも大事だと思います。

 

T:

保湿といっても、クリーム、乳液、美容液など様々ありますよね。保湿効果が一番良いものは、何ですか?

 

日頃から気をつけたい紫外線防御

H:

化粧水、乳液、クリームの違いは、油分量です。クリームは油分が多く、水分の飛びを抑える効果があり、乳液は化粧水との中間になります。化粧水には通常あまり多く油分は含まれていませんが、保湿剤と呼ばれる成分が含まれていて、肌からの水分の蒸発をゆっくりさせる働きを持ちます。美容液は機能的には化粧水に近いようなものですが、美白などのスペシャルケアに用いられることが多いと思います。

そして、スキンケアの大切な基本となる、もう一つは紫外線防御です。

私は紫外線の皮膚に与える研究と紫外線防御試験法の研究をずっと行ってきました。紫外線は人間がさらされる環境の中で、皮膚に対してもっとも悪い影響があるものの一つです。日焼けにより色が黒くなるなどの急な反応もありますし、長い期間にわたり紫外線にさらされる生活を続けていると、深い皺、自然な老化により出来るよりもっと深い皺、例えば外でずっと作業される方の首の後ろにできるような深い皺を作ってしまうのです。こうした深い皺ができることを含めた症状を指して「光老化」と呼びますが、これは皮膚の中にあるエラスチンという線維がダメージを受けて生じてしまう光線性弾性線維症です。体の中であまり紫外線が当たらない臀部は、自然老化の度合いが確認できます。一方、顔は紫外線が当たるので、自然老化プラス紫外線の影響が出ていると言えます。

 

T:

そのようなお話を伺うと、本当に紫外線を予防したくなりますね。スタジオ付近では2月頃でも日傘を使い歩いている方を見かけます。紫外線の影響は、日傘を使うくらいでも防げるのですか?

 

H:

日傘や広いつばの帽子などは効果ありますよ。しかし、その向きなどによっては防御できない紫外線もあります。その点、日焼け止めは肌のすぐ上に塗るので、きちっと塗れば効果的です。2月の紫外線は季節的には強くないので、そこまで神経質になりすぎることもないですが、長時間の戸外活動では使って悪い理由はあまりないと思います。

ホリスティックビューティーとして考えたら、紫外線はすごく気をつけたいものです。その一つの理由として、紫外線が免疫機能にも影響することもあります。何年も前に米国で行われた研究では、紫外線を当てて免疫が下がり、皮膚癌につながることが報告されました。私の母も皮膚癌に罹患しました。元々外に出る生活をしていたわけではないのですが、長い期間の小さな紫外線の影響があり、高齢になり免疫も下がって発症したのだと思います。紫外線防御は、日頃の小さい積み重ねが効いてくるし、大事です。

 

T:

そのようなお話を伺ったら、もっと予防したくなリますね。

例えば韓国人の方の肌は、色白で透明感があります。民族の違いというのは、ありますか?

 

H:

私は民族性の異なる様々な人種の肌をみてきました。その中では日本人は、中国人や韓国人に近くて、同じグループと考えられます。しかし、今の話しで思いましたのが、韓国の方が日本より紫外線量が少なく、その影響もあるかもしれません。以前、日本で行われた調査で、東北地方の年間紫外線量の少ない地域と西日本の紫外線量の多い地域で皮膚を比較したところ、紫外線量の多い地域の方の方が皮膚に対する紫外線の影響が多くみられたという研究報告がありました。韓国の方の場合はもちろん美意識や社会環境など様々な影響もあるでしょう。

 

T:

そうですね。お話を伺い、免疫など健康にも影響する紫外線のことを考えても、美肌づくりの3原則に気をつけていきたいです。また、美肌ケアのために使う化粧品の香りについては、いかがでしょうか?

 

好きな香りもプラスして、楽しみながら美肌ケアを積み重ねる

H:

香りにも、いろいろな機能があります。嗅覚に関係する器官は、脳にすごく近いところにあり、様々な香りは記憶にも直接的に結びつきます。また、アロマコロジーと言って、体の中の機能に対して、色々な影響を与える事もわかっています。加えて、自分の好きな香りの化粧品を使うのは、精神的にもすごく大事なことでもあると思います。

 

T:

最近、保湿剤のサンプルを頂いて、テスト的にインストラクターラクター、またお客様に使っていただきました。そこで気がついたのが、香りの精神的効果です。人工的でない森の香やオーガニックな香りに対して、凄く良い反応がありました。皆さん、癒される〜って仰って。

 

H:

香りは副交感神経つまり、自律神経に作用するので、健康にも影響します。自分が良いと思う香りで、保湿できれば、より良いでしょう。香りで全てが出来るのではないですが。

美肌づくりの3原則の中の紫外線について言えば、私は紫外線というのは、環境からの暴力に近いと思っています。だからきちんと防御するサンスクリーンみたいな防御役が必要です。保湿についても、冬で暖房など使う中にいれば、当然皮膚も乾燥しますから、ちゃんと守ってあげる保湿ケアが大事です。その中に香りを加えることはとてもいいことだと思います。

 

T:

保湿の話に戻りますが、油分と水分補給と考えると、季節や好みによって使うアイテムを考えるということで良いのでしょうか?

 

H:

その通りです。夏はベタベタしたクリームより化粧水などの方が好まれるでしょうし、冬は乾燥から守るバリアを強めるためにクリームを使うなど、季節とその人の肌の状態があるから、自分のお好みで続けることが大切です。

 

T:

紫外線のお話など伺い、予想以上に恐ろしいものがあると思いました。洗顔、保湿、紫外線防御。本当に基本的なことのようだけど、基礎をしっかり積み重ねが大事なのかなと今日は感じました。

 

H:

スキンケアというのは、日々の積み重ねであって、何か一つをポンとやればおしまい、とはならないのです。毎日地道なことの繰り返しなのですが、そういうことを繰り返すことが大事です。香りも含めて、ピラティスにも通じるものがあるのではないでしょうか。たまに1日に長い時間行って良い効果が出るものでもなく、定期的に繰り返してやっていくことで体の状態も、精神状態も良くなりビューティにも繋がる。スキンケアも全く同じです。手間はかかるけれども、それを楽しみながら、その手間を厭わず続けることで、体だけでなく皮膚の美しさが実現できると強く思います。

 

T:

なるほど。やはりピラティスとスキンケアには共通するものがありますね。高価な化粧品をたまに使ったら良いということではなく、地道に続けて習慣化して、良い結果につながるということですね。

 

安全性について配慮したケア商品を選びたい

H

そうですね。私は、あの、化粧品業界にいるから高い化粧品について否定はしないけど(笑)。

高いものは、高いなりの理由がある。高くても売れてるということは、多くの方がそれを良いものだと思ってるのでしょう。しかし、価格だけに拘らず、皆さんが自分にあったいいものを見つけ出して、それを使い続けることがとても大事です。自分に合ってる、とかこの感触がいいなというのを選んでもらい、肌も良い状態で、体も健康というように出来たら良いと思います。

さらに言うと、化粧品に関してはやはり信頼できるというのは、大事なことです。私が行ってきた仕事の一つに、安全性ということがあります。いつも同じ安全な品質の物を作れる信頼できる会社を選ぶことも大事です。

 

T:

安全性という問題で、最近、健康食品で健康被害の問題が発生し、大きな社会問題になっています。そう考えると、化粧品も医薬品ではないけれど、安全性に配慮して作られているか、なども大切なことですね。

 

H:

医薬品は化粧品より安全だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、逆に言うと医薬品は化粧品に比べると効果が大きいものだから、副作用もある程度許されるものなのです。一方、化粧品はどんな人が使っても普通の使用ではトラブルがあってはいけない物です。その安全性をどの様にメーカーが保証しているかを一般の人が見分けるのは、すごく難しいですけどね。

 

T:

そうですね、どうやって判定するのでしょうね‥。長年愛されてる商品とか?

 

H:

そういう考えもあるかもしれないですね。長年多くの方がトラブルなく使用できているということは一つの実績です。

安全性の確認をする時というのは、開発段階で安全なものが開発できればいいというだけではなくて、その製造工程で出来た物がずっと開発段階のクオリティを維持できているということが重要ですから、全社的に対処する課題なのです。

 

T:

きちっと考えてる会社を一般人が探し出すのも難しいですが、安全性を軽視してはいけないということですね。

 

H:

その通りです。私が化粧品会社で安全性の責任者をしている時、他のメーカーに白斑という問題が発生しました。その時に本当に感じたのは、安全性を保証するということは本当に難しい。ただ、注意深く安全性を見続けていると、ちょっとしたサインがやはりあると思うのです。そのサインを見落とすのか、見過ごすのか、わからないけれど、そういうことを起こさないようにすることが大切なのではないかと感じます。

安全性とは、何も起きないことが当たり前であり、きちっと機能している時には地味で目立たない。でも、ずっとそれを続けていられる、そういう部分をちゃんと持っていて、きちっと機能した商品を出している会社を選んでいくことが大切です。

 

T:

本日はたくさんの有益なお聞かせいただきました。

ピラティスの良い効果が、スキンケアにも広がり、全身的な健康と美を考えたいと思います。

また今後ともアドバイスお願いいたします。ありがとうございました。

 

11月に行われるコンベンションでは素晴らしい商品で長年多くの愛好者を得ているブランド様に協賛をいただいております。ライブ参加の皆様に、ホリスティックビューティーに向けた良いご提案の機会になると思っております。

 

 

 

 

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